起業した場合の公的な保証制度について ~健康保険、厚生年金、労災保険、雇用保険

フレスペ

■公的な保証制度について

公的な保証制度として、日本には、健康保険や国民(厚生)年金、雇用保険、労災保険、介護保険があります。

これらの制度は、病気や失業、出産、育児、老後の生活のことなど日常生活を送る上で、直面する様々なリスクに対応できるように設けられた公的な保障制度になります。

加入条件は、個人事業の場合と法人で起業の場合で異なります。  

会社勤めの間は、社会保険料や税金が給与から天引きされるなど、手続きのことなど、あまり考えずに済む場合が多いと思いますが、起業したら、自分で能動的に手続きを行うことが必要になります。

■各種手続きについて

1.個人事業者として起業する場合

個人事業者として起業した場合は、健康保険と年金の手続きが必要です。また今後、従業員が5人以上になると、社会保険に加入する義務が発生します。介護保険は40歳以上の加入となりますが、自動的に手続きされます。  雇用保険は「事業主」ですので、原則加入できませんが、労災保険については特別に加入できる制度があります。

《健康保険》  

退職後すぐに手続きが必要なのが健康保険です。

主な選択肢は2つあります。  

国民健康保険に加入するか、元の勤務先の任意継続被保険者制度の利用です。 国民健康保険の場合  保険料は、居住する自治体、世帯人数、世帯年収、前年の所得などによって決められます。  

あらかじめ、お住まいの市区町村の国民健康保険課に問い合わせて、  保険料を試算してもらうことができます。 〈用意する書類〉 ・資格喪失証明書など、会社の健康保険の喪失日わかるもの。

・本人確認ができるもの(運転免許証やパスポート)

・マイナンバーカードか通知カード ・印鑑

・外国籍の方は在留カード、パスポート

任意継続被保険者制度の場合 起業前に会社員だった場合は、以前の会社で加入していた「健康保険」に引き続き加入できる「任意継続被保険者制度」を利用することもできます。

しかし、保険料は会社員の時に比べ2倍になります。在職時は保険料を会社が半額負担してくれていましたが、全額負担となります。

しかし、保険料には上限も設けられていいますので、 在職中に加入していた保険組合や協会けんぽに、お問い合わせていただくと、詳細を確認できると思います。

また、加入入期間は最長2年間となり、継続するには、以下の条件があります。

・退職日の翌日から20日以内に手続きをすること。

・退職日までに2か月以上の被保険者期間があること。

どちらが有利か、今後2年間の収入見込みなども考え、比較検討して選択することをおすすめします。 その他の選択肢として、「国民健康保険組合」という同種同業者で組織された組合があります。 起業した事業の国保組合があるか調べて、直接国保組合にお問い合わせていただくと、詳細を確認できると思います。

《国民年金保険》

国民年金は「基礎年金」とも呼ばれ、国民全員20歳以上60歳未満の方は、国民年金に加入する義務があります。 国民年金の受付窓口は、国民健康保険と同じようにお住まいの市区町村です。

〈用意する書類〉 

・会社の退職日がわかるもの。(退職証明書など)

・年金手帳(基礎年金番号がわかるもの。

・本人確認ができるもの(運転免許証やパスポート)

・マイナンバーカードか通知カード

・印鑑

《労災保険》

  原則として事業主は加入対象とはなりませんが、一定の条件のもとでの加入が認められる制度があります。詳細は所轄の労働基準監督署に問い合わせていただくと、確認できます。

  

《雇用保険》

失業保険のことですが、事業主なので加入出来ません。

2.法人で起業した場合

会社を法人化すると、たとえ社員がいなくても社会保険に加入手続きをしなくてはなりません。

原則的には、会社設立から5日以内に手続きが必要です。

《健康保険、厚生年金》

起業した場合の公的な保証制度について ~健康保険、厚生年金、労災保険、雇用保険 (3)

会社として、「健康保険、厚生年金保険新規適用届」を所轄の年金事務所に提出して、適用事業 所としての申請が必要になります。  提出方法は、電子申請、郵送、窓口持参のいずれかになります。  

必要書類として「法人(商業)登記簿謄本」を用意します。         

それとともに、起業者本人と雇用者の「健康保険、厚生年金保険被保険者資格取得届」を提出し、被扶養者がいる方は、「健康保険被扶養者(異動)届」と「国民年金第三号被保険者届」を必要に応じて提出する必要があります。

 社員やパートを雇用するようになれば、雇用した社員を社会保険に入れることは、会社の義務ですので、起業したばかりだからそのうちにとか、まだ利益が出てないからなどいう訳にはいきません。大切な社員がいざという時に必要な保障を受けられるように、加入手続きを行うことは、人を雇う責任と義務となります。

新たな雇用者の加入手続きは事実発生(雇用日)から5日以内に届出を提出しなければいけませんので、注意が必要です。入社が決まれば、事前に必要書類や年金手帳の手配を雇用者本人に連絡し、スムーズに手続きを行うことが望ましいです。 それぞれの保険料は、半額を会社が負担することになります。

保険料は、給与から徴収することになります。その会社負担分は、会社の経費として計上できます。 保険料の金額を決めるのは、最初は雇用契約した給与と通勤費の合計により、協会けんぽや、年金事務所で決められた等級に当てはめて決めていきます。翌年からは、毎年1回の定時決定及び、一定以上の固定給が変動があった場合の随時決定によって決まります。

労働保険には、労災保険と雇用保険の二つがあります。

《労災保険》 

起業した場合の公的な保証制度について ~健康保険、厚生年金、労災保険、雇用保険 (2)

正式には労働者災害補償保険と言います。従業員が業務上や通勤途上で災害に遭った時に給付が受けられる制度です。療養補償給付、休業補償給付、遺族補償給付などが支給されます。保険料は全額会社負担となります。(一定の条件を満たせば、事業主でも加入できます。) 加入手続きは所轄の労働基準監督署に「労働保険保険関係成立届」と「労働保険概算保険料申告書」の提出が必要となります。

《雇用保険》

起業した場合の公的な保証制度について ~健康保険、厚生年金、労災保険、雇用保険 (1)

 会社の倒産や解雇、授業員が失業した時の、一定期間の生活を所得面で救済する制度です。俗に言う失業保険のことですが、保険料は支払い給与の事業主負担0.6%、労働者負担0.3%となります。

加入手続きは、所轄の公共職業安定所(ハローワーク)になります。 雇用保険の加入手続き書類  

・労働基準監督署に労働保険で手続きした「労働保険保険関係成立届」  

・登記事項証明書  

・他の社会保険の適用関係書類  

その後、各従業員の手続きは、「雇用保険被保険者資格取得届」に雇用保険被保険者番号、賃金、雇用形態などを記入し届け出をします。原則、一人生涯ひとつの雇用保険被保険者証の番号がありますので過去に雇用保険に加入したことがある人は、その雇用保険被保険者証を会社に提出し、手続きをしていきます。(以前の勤務先名、名前、被保険者証番号が黒字で印字された小さな4㎝×8㎝くらいの紙片です。)