個人事業主としての老後資金設計

フレスペ

■個人事業主としての老後資金設計

雇用されず、個人事業主として、独立するということは、メリット、デメリットそれぞれありますが、これからの時代にあった未来ある働き方ではないかと考えます。未来ある働き方である個人事業主を選んだ場合の、将来、いずれ訪れる老後を考えて備えについて考えてみましょう。

会社員でも、人生100年時代に向けて厚生年金だけでは、老後が不安です。個人事業主は、厚生年金より大幅に支給額が少ない国民年金からの老齢基礎年金のみの支給のため、会社員より、切実に老後に不安感があります。ですから、個人事業者主にとっては、老後資金の準備は欠かせない問題です。しかし、個人事業主のみ加入できる「小規模企業共済」「国民年金基金」「個人型確定拠出型年金」(iDeCo)があります。比較検討して、賢く将来の安心を準備しましょう。

■国民年金、厚生年金はそれぞれ、平均で月額いくらぐらい支給されますか?

国民年金の平均支給額は約5万5千円から5万6千円697円。厚生年金の平均支給額は14万から15万円。受給開始年齢は原則65歳ですが、開始年齢を 繰り上げたり、繰り下げることが出来ます。繰り上げは60歳から64歳で、月に0.5%減額されます。繰り下げは、66歳から70歳で、月に0.7%増額されます。

■「小規模企業共済」とは・・・。いざという時の助けになります。

小規模企業共済は、個人事業主の退職金のようなものです。個人事業主が退職、廃業した場合などに解約することで、積み立てた掛金に応じた共済金が受け取ることが出来ます。

加入するには、開業届の写しか、確定申告書が必要になります。

節税対策としては掛金の全額が小規模企業共済等掛金控除で全額控除となり、支払うべき所得税も住民税も少なくすることが出来ます。解約時には、税金がかかりますが、年金で受け取れば「公的年金等控除」を一括であれば「退職所得」扱いとなり、事業所得と比較してかなりの税負担を少なく出来ます。

中途解約が可能です。加入期間が246か月以上であれば、最高で掛金総額の120%が解約手当金として戻ってきます。貸付金制度があり、積み立てた掛金に応じた限度額まで、貸付を受けることが出来ます。銀行などから借り入れするより、低い利率で借り入れが出来、特別な審査もなく、速やかに借りることが可能です。

■「国民年金基金」とは・・・。自営業者の老後にゆとりを。

公的な年金制度ですが、個人事業主やフリーランス等の第1号国民年金の被保険者が加入出来ます。会社員や公務員は加入出来ません。厚生年金のない人たちのために作られた基金です。節税対策としては、掛金は社会保険控除として、全額が所得控除されます。

掛金の上限は月額6万8,000円、年額で81万6,000円です。すべてが所得控除されますので、支払うべき所得税も住民税も少なくすることが出来ます。

掛金はその時の経済状況によって自由に年金プランを設計出来ます。事業変化や、状況に伴って掛金も変更出来ます。年齢が若いうちに加入すると、それだけ掛金は安くなります。

掛金は口数制で、将来の受取額から、何口加入するかを決めます。

厚生年金や国民年金と同じように、65歳から終身(亡くなる)まで受給される終身年金と、何歳から何歳までという確定年金を選ぶことが出来ます。

国民年金基金は、途中で脱退は出来ません。60歳になるまで掛金の支払いを止めることは出来ませんが、月々の掛金は途中で増減出来ます。

しかし、会社員など、途中で国民年金の被保険者でなくなった場合は、途中で引き出すことは出来ませんが、基金から将来、年金として支給されます。

1口30歳男性で、月額1万300円で、年金額は24万円。40歳男性で、月額1万2555円で、年金額は18万円。50歳男性で、月額1万8150円で、年金額は12万円となります。女性は、男性よりも平均して長命であるということから、月額2000円ほど高くなります。

■「個人型確定拠出型年金」(iDeCo)とは・・・。自分で決める運用年金

個人型確定拠出型年金(iDeCo)とは、収入を得ている間に、自分自身で掛金を拠出(相互扶助のために互いにお金を出し合うこと。)して積立てて老後に運用後の年金の給付を受けるということです。

会社員、自営業、専業主婦関係なくほぼ全ての厚生年金、国民年金加入の20歳から60歳未満の方が加入できます。60歳以降は、新規の加入は出来ませんが運用は可能です。

掛金は、5,000円から68,000円まで、1,000円単位で自由に設定出来ます。金額は年1回変更可能で、休止も可能です。積み立てた金額は全て、所得控除の対象になります。支払うべき所得税も住民税も少なくすることが出来、運用によって利益が出た場合(定期預金の利息や投機信託の値上がり)も、税金はかかりません。

加入するには金融機関に申込をします。銀行、証券会社、保険会社などです。運用中は、金融機関の変更は出来ませんので、自分自身で良く比較検討して慎重に選ぶことから始めましょう。

確定拠出型年金(ideco)の専用口座の開設や維持には手数料がかかる金融機関もあります。金融機関によって、料金は違いますので、調べて比較検討して下さい。

確定拠出型年金(ideCo)は、確定年金です。給付が一生涯続く終身年金ではありません。

原則60歳から老齢給付金として給付されます。加入期間が10年以上ない場合は70歳までの間で決めます。一括受取の場合は、「退職所得控除」、分割受取の場合は「公的年金等控除」の対象となります。途中で解約することも、60歳になる前に引き出すことも出来ません。もし途中でじぶんが早くに亡くなった場合、残額が家族に支払われます。

金融商品のため、運用リスクがあります。元本確保型の商品(定期預金や保険商品など)と投資信託です。運用商品は1本でも、複数でも可能です。変更も可能です。

■付加年金とは・・・。国民年金に上乗せする年金です。

国民年金に月額400円を上乗せして支払うことで、将来貰える年金額が増額される制度です。

加入できるのは、国民年金第1号被保険者で20歳から60歳未満の月の40年間になります。

国民年金基金の加入者は、加入することは出来ません。

給付は老齢基礎年金を受給する時と同じタイミングで一緒に支給されます。

将来の支給額は、「200円×納付月額」が受け取る年金に加算されます。

年金の受取を繰下げ受給をすると、付加年金も同額で増額されます。反対に繰り上げ受給をすると付加年金も同額で減額されます。

保険料が月400円と少額ですが、人生100年時代を考えてみると、とても効果的な400円の使い道です。

国民年金の付加年金と国民年金基金は、どちらか一方の選択になりますが、その他は併用して加入することも可能です。しかし、国民年金基金確定拠出型年金(ideCo)の掛金の上限は合わせて月額6万8000円である点にご注意下さい。

■独立後の将来設計のまとめ

貸付金制度があるのは、小規模企業共済だけあるとか、利率が確定している国民年金基金、運用次第の確定拠出型年金(ideCo)など、様々なメリットや違いがあります。

節税対策として、将来のゆとりと安心のために加入を検討し、自営業の暮らしに安心を備える方法のひとつになると思います。