コワーキングスペースのビジネスモデルとは?4つの会社をもとに徹底解説!

コワーキングスペース

近年、新型コロナウイルスの影響により、リモートワークに切り替わった人が多数います。リモートワークやテレワークに切り替わったことで以下の悩みを抱えている人も多いのではないでしょうか。

  • 自宅での仕事が集中できない
  • 自宅のWi-Fi環境が良くない
  • オフィスほどのモチベーションを保つことが困難になった

そのような問題を解決するのが、コワーキングスペースです。以前までのコワーキングスペースの利用者は、起業家やフリーランスがほとんどでした。しかし、ここ最近ではリモートワークに集中するために会社員の利用も増えてきています。年々、街でよく見かけるようになったコワーキングスペースですが、そのビジネスモデルはどのようなものがあるのでしょうか。

本記事では、コワーキングスペースビジネスを成功させた4つの会社を列挙し、それを踏まえたビジネスモデルのポイントを2つご紹介します!

まずは、コワーキングスペースについて紹介していきます。

コワーキングスペースとは

コワーキングスペースとは、「Co(共同で)」+「Working(仕事をする)」という2つの言葉を合わせた意味です。この場所の特徴は2つあります。

  • 異なる企業の従業員や個人同士が設備をシェアしている
  • コミュニケーションを促進する仕組みが構築されている

共同で仕事を行うことで、イノベーションが生まれたりすることがコワーキングスペースの最大の魅力になっています。次にコワーキングスペースを実際に運営していく手順について説明していきます。

  • 他のコワーキングスペースを見る
  • 物件を探す
  • 部屋のレイアウトを決める
  • 宣伝する

①他のコワーキングスペースを見る

コワーキングスペースに限らず、何かを始めるにあたって念入りに計画を立てることは非常に重要です。一部分の例ではありますが、以下のような計画は必要不可欠になっています。

  • 市場調査
  • 競合調査
  • 自社環境
  • ターゲット設定
  • マーケティングミックス

土地選び一つにおいても、以下のことが考えられます。

  • どのような場所にオフィスを構えればどういった人のニーズを満たすことが出来るのか?
  • その土地では、予算はどのぐらいかけることができるのか?
  • 周囲に住んでいるのはどういった人々か?
  • 維持費を含め、月の売り上げはどのぐらい必要であるのか?
  • 周りに同じようなシェアオフィスやコワーキングスペースがあるのか?
  • その場合、料金設定はいくらであるか?
  • 他社とは違う、自社独自の付加価値はどのようなものがあるのか?

このようなことを、自社と他社の徹底的な比較もコワーキングスペースの運営の成功を左右させる大きな判断軸となります。

②物件を探す

2つ目は物件探しです。理由は、競合相手を分析していくうちに、コワーキングスペースを出店すべき場所もだんだんと見えてくるからです。物件探しにおいて、特に注意しておきたい点は、以下の2つです。

  • 周囲にどれほどの競合相手がいるか?
  • 駅からどれほどの距離に位置しているのか?

あまりにも競合相手の少ないブルーオーシャンな地域で開業しても、リスクが高まるばかりです。地方の田舎にコワーキングスペースがあると想定してみてください。

人は集まるのでしょうか?最近では一般の会社員の利用も増えてきているコワーキングスペース。行きづらい場所にあっては人が集まるどころか、新しくオープンしたコワーキングスペースを知るきっかけすらありません。そこで、考慮すべき項目が“駅からどれほどの距離に位置しているのか?”です。

駅近であるほどアクセスが良いので、人は集まりやすいですが、賃料は高くなります。また、既に条件の良い物件は埋まっていることがほとんどです。難しい点ではありますが、ここら辺の塩梅は慎重に考えていくべきポイントとなります。

③部屋のレイアウトを決める

3つ目は、部屋のレイアウトを決めることです。利用者は、コワーキングスペースを選ぶにあたって施設のレイアウトや機能性も重視します。

  • 椅子は快適で、長時間の作業に最適か?
  • Wi-Fiの速度は十分であるか?
  • 開放的な空間か?
  • コンセントは完備しているか?また、使いやすい場所に位置しているか?
  • 作業に集中できる洗練されたデザインであるか?

部屋のレイアウトと一口に言っても考えるべき点はたくさん存在します。コワーキングスペースの大手会社、weworkは空間のデザインを非常に重視している会社のうちのひとつです。

コワーキングスペースの空間には、大きな窓を設置して自然な太陽光が差し込むようなオフィスとなっています。作業に必要となるコピー機やコンセントの設置はもちろん、息抜きに嬉しいフリードリンクも充実しています。

インテリアには、洗練されたスタイリッシュなデザインなものを使用することで、“憧れの仕事空間”を実現させているのです。このように、部屋のレイアウトは利用者がオフィスを利用したいと感じるきっかけづくりともなります。

④宣伝する

4つ目は、宣伝することです。いよいよコワーキングスペースを始めたのであれば、人々に知ってもらう必要性があります。施設の運営を始めたと同時に宣伝するのも良いですが、それだと実際に人が来るまでに時間がかかってしまいます。

物件が決まって空間のレイアウトを始めるところから発信することで、コワーキングスペースができる姿を見ることができます。そのことにより一から作っている姿を見れることでファンに繋がることが考えられます。

宣伝媒体は、主にSNSです。TwitterやInstagramなどで空間のリノベーションの経過を発信します。最近では、YouTubeのDIY動画も人気なのでYouTubeでの発信も良いでしょう。

デザインやレイアウトを完成させていくにあたって、SNSを観てくれている人に意見を聞くのも、なお良しです。そうすることによって、視聴者も“一緒に”コワーキングスペースを作り上げている気分になり、ファン化へとつながります。

オープン前にコワーキングスペースの運営を楽しみに待ってくれている人がいれば、いざ開業した時にファンをすでに獲得できているので、来客数の増加の可能性が高まります。また、その人たちが宣伝媒体となってくれる可能性もあります。このように、しっかりと宣伝することでより一層飛躍することも可能となるのです。

以下のことを踏まえ、コワーキングスペースのビジネスモデルとなる会社を4社紹介していきます。            

  • wework
  • リージャス
  • サーブコープ
  • いいオフィス

ビジネスモデル①他社よりもひと際目立つ会社wework

weworkとは、コワーキングスペースと聞くと誰しも一度は聞いたことのあるほど有名な会社です。コワーキングスペース業界でもひと際目立っていると言っても過言ではありません。

2010年にアダム・ニューマン氏とミゲル・マッケルビー氏により、ニューヨークの小さなオフィスで事業展開した会社です。わずか10年で世界124都市、757拠点と非常に大きく成長し、日本でも東京・大阪・名古屋・横浜・神戸・福岡などにおける主要都市にも事業展開した企業です。企業の評価額が10億ドル以上であることを示す、「ユニコーン企業」としても認識されており、非常に注目を浴びている企業です。

weworkには、独自のコミュニティやブランド性があります。weworkの拠点各地には、コミュニティマネージャーという、利用者の声を本社に伝えたりする、いわばお客様と会社をつなげる仲介役のような役目を行う人がいます。

これにより、コミュニティの統一性が保つことができます。また、独自のイベントにおいては、お酒を片手にコワーキングスペースの利用者同士が交流できるハッピーアワー、利用者自身がスピーカーとなる講演会などがあります。これらのイベントを行うことによって、利用者たちが普段なかなか出会うことのできない異業種の人と交流することを可能にします。

以上のように、ただコワーキングスペースとして空間を提供するのみでなく、その場を利用することによっての“メリット”を増やすことによって他者との差異化を図っていると考えられます。

ビジネスモデル② 世界110カ国に事業展開を繰り広げた会社、リージャス

リージャスは、世界110カ国・1100以上の都市に拠点を置く、weworkに匹敵するほどのコワーキングスペースブランドです。オフィスの数は、全世界で3300以上もあります。そのうち日本には、44都市・170か所以上の拠点があります。

首都圏やその他主要都市のみでなく、北海道・東北・中国四国地方・沖縄にもあることが他のコワーキングスペース会社との大きな相違点です。他者が進出していない場所にも拠点があることから、全国各地のお客様のニーズに答えられることが出来るのが大きな特徴であり、強みです。

場所によって、空間のデザインが異なりますが、どれも洗練されたスタイリッシュな空間で仕事に取り組むことが出来ます。また、リージャスは3つものオフィスブランドを展開していることも独自の特徴のひとつです。利用者は、自身のニーズに合わせてサービスを選ぶことができるというメリットがあります。

ビジネスモデル③ 広々としたコワーキングスペースを提供している会社 サーブコープ

3つ目にご紹介するサーブコープも、全世界に事業を成功させている会社です。ニューヨーク・パリ・ロンドン・東京・シドニー・香港など世界150以上に拠点を置いています。

ご時世に合わせた特徴としては、どの会社よりもソーシャルディスタンスに力を入れており、1ブースあたり最大2名までの制限があったり、共有スペースを4時間毎に消毒を行ったりしています。こういった徹底したスタイルは、会社への信頼、そして安心感の獲得に繋がります。

作業空間にもこだわりを持った会社で、業界における平均値の約3倍である12㎡を一人当たりの空間として確保しています。そのため、利用者は狭苦しくない広々とした空間を活用できるのが特長なのです。

ビジネスモデル④ FC戦略でコワーキングスペースを広める会社 いいオフィス

最後にご紹介するいいオフィスは、日本全国事業において事業を成功させている会社です。全国にコワーキングオフィスを開設し、現在は300カ所を超え、海外にも展開を広げています。

2019年9月の時点のオフィスの数は30店舗でした。しかし、フランチャイズ(FC)の仕組みを取ったことで、わずか1年で200を超える数を増加させることができました。直営の店舗もわずかにありますが、既存のコワーキングオフィスの店舗にFCに参加してもらい、FC全店で使える決済などのシステムを提供するのがメインの事業になっています。

また、コロナ禍でクラウドファンディングを行い、ファンを多く集めたことで、急速に店舗が拡大することにつながりました。さらに、コロナ禍で客層の減った飲食店にもFCに加盟してもらい、店舗の一部のテーブルをコワーキングオフィスとして利用できるようにしました。

飲食店を助けるために、初めは手数料を取らず、利用料金の100%を飲食店側に分配しています。加盟店舗が増えれば、毎日好きな飲食店をめぐりながら仕事が出来るようになることが考えられます。各店舗が、いいオフィスのFCに加入することで、登録員がコワーキングスペースを利用すると料金の25%をいいオフィスに手数料として支払います。

そして、残りの75%が、利用したオフィスの利益になっているのです。それだけでなく各店舗がFCに加入することで、使い放題の会員の販売権を得ることが出来ます。このことが、各店舗がFCに加入した大きな理由になっています。次にこの理由について詳しく説明していきます。

各店舗がFCに加入した理由とは

いいオフィスでは、複数人で1枚のカードを使い回せる月額3万円の法人プランを用意しています。各店舗が、FCに加盟することで、この法人プランを販売する権利を得ることができます。

使い放題の法人プランを販売することで、月額3万円の使用料のうちの15%が、固定的に販売したFCに入る仕組みになっています。つまり、自社のコワーキングスペースを利用しなくても、会員が継続して他のFCのコワーキングスペースを利用しても、安定的に固定的な売り上げが見込めるのです。

その売り上げの25%をいいオフィスに支払い、残りの60%を収益としてもらえます。会員ごとの利用時間および、時間当たりの単価を計算し、長時間利用された店舗に多く分配される仕組みになっているのです。

FCの典型的な仕組み各店舗が、いいオフィスのFCに加入することで、登録員がコワーキングスペースを利用すると料金の25%をいいオフィスに手数料として支払います。そして、残りの75%が、利用したオフィスの利益になっています。

コワーキングスペースを成功させるために知っておきたい厳選ポイント2つ!

コワーキングスペースのビジネスモデルとは?4つの会社をもとに徹底解説! (2)

wework・リージャス・サープコープ・いいオフィスの4つの会社の基礎的情報をご紹介しました。次に、これらの会社の特徴を踏まえて、コワーキングスペースのビジネスにおけるポイントを2つに厳選してご紹介します。2つのポイントは以下の通りです。

  • 利用者別によるプラン
  • 独自の洗練された空間

1つ1つ紹介していきます!

ポイント① 利用者別によるプラン 

一つの選択肢にとどまることなく、ターゲットごとに見合ったプランを設けることによって利用者の満足度もより一層高まります。利用者別によるプランはweworkやリージャス、いいオフィスが実際に行っている戦略です。

例えばweworkでは、利用者のニーズに応じて「デスクプラン」と「オフィスプラン」というものが存在します。デスクプランは、いわゆる一般的なコワーキングスペースで、1名から利用できるためフリーランスなどの個人や、スタートアップ企業に向いています。

デスクプランの中にも、さらに「専用デスク」と「ホットデスク」が存在し、専用デスクはその名の通り、自分専用のデスクを所有することが可能です。一方で、ホットデスクは共有エリアの中の空いているスペース内を自由に移動することが出来るプランになっています。

weworkのオフィスプランは、デスクプランとは逆に、ある程度の人数を要する企業に向いているプランです。こちらのオフィスプランにも、「プライベートオフィス」と「オフィススイート」の2つが存在します。後者は、ワンランク上のサービスを受けられるという違いがあります。

このようなweworkの細分化されたサービスを、リージャスは“3つのオフィスブランド”を立ち上げることによって実現させています。その3つがリージャスビジネスセンター・オープンオフィス・スぺイシズです。

リージャスビジネスセンターは、コワーキングスペースをはじめ、会議室やラウンジなどを利用することが出来るプランになっています。オープンオフィスは、シンプルでコンパクトなデザインのオフィスです。こちらは、支出を最低限に抑えたい人に向いているプランです。

最後にスぺイシズは、空間の提供のみでなく、コミュニティの形成やクリエイティビティに特化した、洗練されたプランです。以上のように、ターゲットを事細かに分けて利用者別にプランを設定することで、目的に合った利用者の獲得が可能となります。

ポイント② 独自の洗練された空間

どのような空間で仕事をしたいか?というのは、利用者がコワーキングスペースを選ぶにあたって重要な決め手の一つとなるのではないでしょうか。“空間”をお金で払っているのですから、コワーキングスペースの作業空間を重視するのも当然です。

サーブコープは、利用者がコワーキングスペースを最大限に利用できるために、ひとつひとつのデスクに以下の工夫がなされています。

  • 高速で安全なWi-Fi環境
  • 全世界40000以上のサープコープ利用者との交流を可能にするオンラインコミュニティ
  • フリードリンク(コーヒー・ティー各種)
  • 人間工学に基づいた革製の椅子
  • 清掃サービス
  • プリンタ、コピー機、スキャナの完備

また、weworkにおいては自然光が入る明るい空間を基調に、設置している椅子や机などのインテリアもおしゃれでこだわりのあるものを使用しています。

簡易キッチンやフリードリンクも充実しています。このような、コワーキングスペースの利用を左右させる空間をいかに独自性に溢れたものにするか、利用者の求めているものを作り上げることが出来るかが成功のポイントとなります。

おわりに

コワーキングスペースのビジネスモデルとして、wework・リージャス・サーブコーポ・いいオフィスの14つの会社をご紹介しました。コワーキングスペースのビジネスを始めるためには、成功しているコワーキングスペースを参考にしていく必要があります。

そのためにも、利用者の求めるものを作り上げることが大事になってきます。コワーキングスペースを利用する人は、どんな空間を求めているのかを徹底的に考察したうえで、利用者のより一層の満足度のためにニーズごとのプランを設けるとよいでしょう。今回紹介したコワーキングスペースのビジネスモデルを参考に、独自の付加価値を加えてみてはいかがでしょうか。