保険証があれば、病気やけがをした時に、病院やクリニック、調剤薬局でかかった治療費や薬代の3割(2割)の負担分で診てもらう事ができます。日本に住んで良いことはたくさんありますが、中でも「国民皆保険制度」を実施していることだと思っています。日本国内のどこの病院や薬局に行っても2割から3割で医療や薬を処方して貰えます。世界では先進国でも公的な医療保険が整っていない国もありますし、多くの国民が無保険という国もあります。
保険証は、病気になったときや、身分証明書にもなるとても大切なものですが、国保や社保とか、なんとなくわかっているような、やっぱり違いがよくわかってないような。そもそも保険証を持っているとどうして3割支払うだけでいいの?
そこで、保険証の仕組みや違いを分かりやすく簡単に説明しましょう。
医療機関は、患者本人に3割請求し、残りの7割は国保や健康保険組合、協会けんぽ等に請求します。 病気や怪我をした時に、保険証を出して治療を受けた際に病院や調剤薬局等の医療機関に会計で3割分を支払います。残りの7割は、医療機関は保険証の番号等を記入して患者ごとのレセプトという診療報酬明細書を作成し1か月分をまとめ、支払基金という診療内容の審査機関に請求します。(診察や検査などの全ての医療行為は細かく点数が決められており、1点10円で計算されます。)
支払基金は、適正かを審査後、健康保険組合や協会けんぽなどに請求し、その支払われた診療報酬を最初の請求された医療機関に支払います。
国保は農家や漁業、自営業の人が加入する市区町村(地方自治体)発行の保険証です。健保は、サラリーマン、お勤めの人が加入する職場の保険証です。
*国民健康保険は農業、漁業、商店を経営している人などの自営業、会社を退職して今まで の会社の健康保険を返した人が加入します。またはパートやアルバイトで働いているが会 社の健康保険に加入してない人、外国人登録をして3か月以上日本に滞在することが認められた人など、会社の健康保険に加入していない全ての人が入る医療保険です。
その他に同種同業による組合員で組織された「国保組合」もあります。「○○税理士国民 健康保険組合」「○○○歯科医師国民健康保険組合」など、多くが組織化されています。
*社会保険は、公務員、会社員等が加入する勤め先が所属する医療保険です。
社会保険には、大きくわけて三つの組織があります。
・電気会社や自動車メーカーなどの大企業等が独自で運営する「○○○健康保険組合」
・中小企業等が共同で運営する「協会けんぽ」
・国家公務員や地方公務員、私立学校教員等が加入する「○○○共済組合」
国保(国民健康保険)、社保(社会保険)-2
国民健康保険 社会保険 加入手続き お住まいの市区町村の窓口に自分で手続き(本人確認書類持参) 勤務先の総務課などの担当者が手続き 保険料 前年の所得ベース(世帯単位での計算) 給与の月額報酬に基づく(半額事業主負担) 保険料の被扶養者負担(4・で説明) あり(家族の数に比例して負担額も増えてしまいます) なし(扶養者が何人いても保険料は本人のみと変わらず) 傷病手当金出産手当金(・5で説明) 支給なし 支給あり 育児休業中の医療保険(年金)の保険料は?(・6で説明) 免除なし(国民年金は産前産後の一定期間の み免除あり) 医療保険、厚生年金ともに免除あり 高額療養費(・7で説明) あり(医療費の限度額を越えた分が払い戻される) あり(医療費の限度額を越えた分が払い戻される) 出産手当金 なし あり(出産のため仕事を休んだ時期の給与の一部が支給される) 出産育児一時金(・8で説明) あり(出生児1人につき42万円) あり(出生児1人につき42万円) 家族の異動や脱退(退職) 14日以内に市区町村の窓口へ 勤務先の総務課などへ(退職の場合は翌日から使用出来ません。)
社保のみ 扶養認定制度があります。家族が年収130万円未満且つ被保険者の半分未満の場合、被扶養となることが出来ます。そして、扶養家族が何人いても、保険料の負担はなく本人のみと変わりません。
国民健康保険には、扶養家族の認定制度がないため、扶養家族が多いと、家族の人数に比例して保険料の負担額は増えることになります。
社保は請求できます。国保はできません。
傷病手当金とは、病気やけがで会社を休むことになったときに、医療保険から給付を受けられる制度です。申請するには4つの条件があります。
①業務外の病気やけがであること
②労務不能で仕事につけないこと
③連続する3日間を含み4日以上仕事を休んでいること
④休職期間は給与が支払われないこと
申請は事後が基本ですが長期の場合は1か月ごとに申請します。用紙はダウンロードするか、事業所に請求して下さい。被保険者が記入する用紙、医師が病気やけがの状況を記入する用紙、事業主が給与の支払状況や勤務内容を記入する用紙もありますので、早めに申請用紙を準備して、まず医師に記入の依頼をするといいでしょう。その後、会社の担当者に依頼します。
支給される金額の1日当たりの金額は、
【支給開始日の以前12か月間の各標準報酬月額を平均した額÷30×(2/3)】
おおよそ一日分の65%位と考えればいいと思います。
国保には、会社を休むとかの概念がないため、傷病手当金や出産手当金などに代わる休業時の収入の減少に備える準備が必要です。就業不能保険に加入する等も安心です。
社保のみ免除されます。育児休業中の経済支援の一つとして、事業主が年金事務所または健康保険組合、協会けんぽ等に申請すると、産前産後、育児休業中の社会保険料(医療保険、厚生年金)が免除されます。(被保険者本人及び事業主負担分ともに免除)
免除期間は、産前6週間(多児妊娠は14週間)から産後8週間を経て育児休業を終了するまでですが、最長で子が3歳の誕生日を迎える前日までです。
社会保険料が免除されても、健康保険はいつもと同じように使え、給付も通常通り受けられます。年金も免除された期間も将来の年金額に反映されます。また、賞与についても、保険料は免除されます。
手続きは事業主が「健康保険・厚生年金保険産前産後休業取得者申出書」「健康保険・厚生年金保険育児休業取得者申出書」を年金事務所、健康保険組合、協会けんぽ等に提出します。
国民健康保険の加入者は、国民年金に加入することになるわけですが、国民年金に加入している方でも、出産前後の一定期間の国民年金保険料が免除されます。市区町村の年金窓口に「国民年金被保険者関係届書(申出書)」を提出して下さい。
国保、社保いずれも請求できます。同月内(1日から末日まで)療養に要した費用が決められた限度額を越えた場合、高額療養費として支給されます。自己負担限度額はカレンダーのひと月を一か月として計算します。月をまたいで入院した場合などは、それぞれ別計算になります。
国保の場合1か月の自己負担の上限額は、加入者が70歳以上かどうかや、所得水準によって決まります。
該当する世帯には、診療の月から3~4か月後に申請書が郵送で届きます。世帯主氏名、電話番号、振込口座を記入し、押印のうえ、医療費の領収のコピーを添付し郵送して下さい。
また、事前に高額な医療費がかかると分かっているときは、「限度額適用認定証」を国保の窓口に申請書を書いて申請して下さい。その認定証を医療機関の窓口に保険証と一緒に提示すれば、自己負担限度額分だけの支払いになります。
社保の場合被保険者本人、被扶養者のいずれも対象となります。
1か月の自己負担額は、加入者の標準報酬月額(保険料を計算する区分)により低所得者の24,600円から高額所得者の140,100円と幅があります。
高額療養費の請求は、(高額療養費ダウンロードするか、お勤めの会社で貰えます。氏名、電話番号、振込口座を記入し、押印のうえ、医療費の領収のコピーを添付し、加入している健康保険組合や協会けんぽ等に郵送して下さい。
また国保と同様に、事前に高額な医療費がかかると分かっているときは、「限度額適用認定証」を加入する健康保険組合や協会けんぽ等の窓口に申請書を書いて申請して下さい。(用紙はダウンロードするか、会社の総務課や該当する部署などで貰えます。その認定証を医療機関の窓口に保険証と一緒に提示すれば、自己負担限度額分だけの支払いになります。
国保、社保いずれも請求出来ます。子どもが生まれたときに、一児につき42万円が支給されます。
申請書は、出産する産院、病院で医師が記入する箇所がありますので、事前にダウンロードするか、役所、勤務先で入手しておくといいでしょう。それぞれ、市区町村の国保の窓口、健康保険組合、協会けんぽ等に郵送して、振込を受けて下さい。また、出産が近づいたら、急な帝王切開に備え事前に高額療養費の欄で説明する「限度額適用認定証」の交付を受けると安心です。
*いずれの場合も、詳しい内容、手続きのついては保険証に保険者名称、電話番号が記入されていますので、直接お問い合わせされることをおすすめします。
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