コワーキングスペース開業の流れを押さえられる!ポイント3つをご紹介

コワーキングスペース

近年、全国的に増加傾向にあるコワーキングスペース。オフィスをもたないノマドワーカーやフリーランスの仕事場として、注目を集めています。

また最近では、リモートワークでコワーキングスペースを利用する会社員も増えてきており、今後ますます需要が高まっていると言えるでしょう。

コワーキングスペースとは、オープンスペースを共有オフィスとして利用できる場所のことです。中には、利用者同士の交流会やセミナーが開催されていたり、ビジネス支援が行われていたりなど、単なる“作業場”ではなく付加価値のある運営が行われているコワーキングスペースもあります。

今回は、コワーキングスペース開業の流れや押さえておくべきポイントについてご紹介します。

コワーキングスペース開業の流れ

コワーキングスペースをスムーズに開業するためには、きちんと段階を踏んで効率よく準備を行う必要があります。コワーキングスペース開業の流れは以下のとおりです。

  1. 市場調査
  2. コンセプト決め
  3. 物件探し
  4. レイアウト決め
  5. 家具や備品の買い出し
  6. 宣伝
  7. オープン

それでは、一つ一つ解説していきます。

①市場調査

コワーキングスペースの開業を決めたら、まずは市場調査を行いましょう。市場調査とは、市場にどのようなニーズがあるのかを把握し、コンセプト設計や運営に活かすことを目的としています。

そのため、出店エリアの選出やターゲットのニーズに合致したサービスを提供するために、必要不可欠な工程です。市場調査では、次の3つのポイントを重点的に確認しましょう。

  • ニーズ(現状、どのような需要が存在するのか)
  • ターゲット(想定利用者の属性)
  • 競合(エリアや利用料金)

これらの情報を把握することで、自分が運営するコワーキングスペースの具体的な方向性が見えてきます。

市場調査では、他のコワーキングスペースに足を運んだり、ホームページを複数見たりして、良いところやもっとこうした方がいいなと感じたポイントを積極的に自分のコンセプト案に取り入れることを意識しましょう。

もし可能であれば、実際にコワーキングスペースを運営している人にSNSやwebサイトからコンタクトをとり、話を聞きに行くことをおすすめします。

いざ開業しようと決意すると、「新しい家具が欲しい」「こんなサービスを実現したい」と夢が膨らみ、自分のやりたいことばかりが先走ってしまいがちです。

しかし、利用者のニーズを無視し自分の希望ばかり詰め込んでしまうと、市場のニーズとはかけ離れたコワーキングスペースになってしまいます。そのため、市場調査は決して軽視せず、多くの時間と手間をかけて行った方がよいでしょう。

②コンセプト決め

市場調査を終えたら、調査結果をもとに、どんなコワーキングスペースを運営するのかコンセプト決めを行います。

コンセプトとは、運営するコワーキングスペースの「個性」です。どんな人にどんな用途で利用してほしいか、どういったニーズや期待に応えたいのか、これから先の意思決定の柱となるコンセプトを考えていきましょう。

コンセプトの具体的な例を11個あげているので、参考にしてみてください。

  • 24時間利用可能
  • 女性専用スペース完備
  • 気分があがるおしゃれな内装
  • 外国人でも利用しやすい環境
  • 利用者同士の交流会など誰でも参加できるイベントを行う(コミュニティを作る)
  • 起業家向け。専門家にビジネスの相談ができる
  • 個別のワークスペースを設け、より仕事に集中できる設備を整える
  • 無料の飲み物コーナーやラウンジスペースなど、サービス面を重視する
  • ミーティングルームを設け、複数人で利用しやすい環境を作る
  • キッズスペース完備
  • 防音室を完備し、テレワークに対応

コンセプト決めは、詳細まで突き詰めて考えることで競合店舗との差別化を図り、継続的な利用を促すことが目的です。同じエリアに店舗を構えるコワーキングスペースにはない利用するメリットがあると、宣伝する際にも強みとなります。

利用者にどんな付加価値を提供できるかを考慮しつつ、念入りなコンセプト決めを行いましょう。

③物件探し

市場調査や決定したコンセプトをもとに、どこに出店するのかを決めていきましょう。物件探しで注意するポイントは、次の4つです。

  • アクセスの良さ
  • 競合が出店しているか
  • 家賃は支払い可能な金額か
  • 登記や住所利用が可能か

1つ目のポイント、アクセスの良さは、一番に重視すべきポイントです。なぜなら、仕事とは日常的なものなので、通いづらい立地だと利用者から敬遠されてしまうからです。複数人数でのオフィス利用を勧める場合は、さまざまなエリアからの集まりやすさも考慮する必要があります。

2つ目のポイント、競合が出店しているかも物件選びで意識すべき要素です。競合が出店しているエリアは避けた方がいいと思いがちですが、実はそういったエリアこそ狙いどころです。

なぜなら、すでにそのエリアにはコワーキングスペースの需要があり、出店時の利用者が見込みやすくなるのが理由です。競合との差別化をより意識する必要はありますが、もともと競合のある地域に出店するのも、戦略として間違っていない選択でしょう。

物件選びで見落としがちなのが、3つ目のポイントの家賃が支払い可能な金額かどうかです。物件を探し始める前に、どれくらいの利用者数を目指し、いくらの売上があり、そのうち家賃に何割程度当てられるか、具体的な数字を把握しておくことが大切です。

また、利用者は、ふらりと通りすがりにコワーキングスペースを利用する訳ではなく、事前にインターネットで下調べをし、場所を確認して訪れる人が多いです。そのため、人目に付きやすい駅近の大通り沿いや1階の物件を選ぶ必要はありません。

ランニングコストを抑えるためにも、家賃負担ができる限り少ない、無理のない範囲で物件を選びましょう。

4つ目のポイント、登記や住所利用が可能かどうかは、コワーキングスペースの特色として宣伝できるアピールポイントになるので、物件を探す時に必ず確認しておきましょう。

④レイアウト決め

物件が決まったら、コンセプトに沿って、レイアウト決めを行います。家具や備品の配置を考えやすくするために、まずは必要なものをすべて書き出しましょう。

  • 椅子
  • モニター
  • コピー機
  • パーテーション
  • ロッカー

必要な家具や備品が把握できたら、間取りの図面を準備し、後々困らないようにコンセント位置を考慮しながらレイアウトを考えていきましょう。

⑤家具や備品の買い出し

レイアウトが決まったら、必要な家具や備品の買い出しを行います。予算をオーバーしないように、まずは必要最低限のものを揃え、徐々に必要なものを買い足していくといいでしょう。中古品も上手く活用しながら家具を揃えると、初期費用を抑えることができます。

⑥宣伝

コワーキングスペースの準備と同時並行で、集客のための宣伝活動を行います。いくら立地やサービス内容がよくても、周知できなければ利用者の獲得にはつながりません。そうならないよう、物件やオープン日が決まり次第宣伝を始められるように、早め早めに準備を進めましょう。

主な宣伝方法は、以下の5つです。

  • SNS(twitterやFacebookなど)
  • ホームページ作成
  • インターネット上に広告を出す
  • 最寄り駅やお店にチラシを置いてもらう
  • 地域の情報誌に掲載してもらう

特にホームページ作成は時間がかかるため、コンセプトが決まった時点で準備に取り掛かる必要があります。ターゲットに宣伝が届くように、それぞれの方法の特徴を活かして戦略的に宣伝を行いましょう。

⑦オープン

オープンを迎えるにあたって、事前に見学会を行うのもおすすめです。実際に足を運んで体験してもらうのはもちろん、映像を使ったバーチャル見学会を行い、雰囲気をより多くの人に味わってもらえるよう企画を考えてみましょう。

また、利用者に興味を持ってもらえるようなイベントを企画するのもおすすめです。フリーランスや特定の業種限定の交流会、起業家のためのビジネス相談会など、足を運んでみたくなるようなイベントを行うことで、コワーキングスペースの存在や雰囲気を知ってもらうきっかけになります。

オープン後は、利用者の方にアンケートを書いてもらったり、実際に話を聞いたりして、改善点やあったら便利なサービスについて意見をもらいましょう。こうした意見を運営に反映させることで、より満足度の高いコワーキングスペースに近づけることができます。

コワーキングスペース開業で押さえておくべきポイント

コワーキングスペースを開業する際に、押さえておくべきポイントは以下のとおりです。

  1. 初期投資を抑える
  2. 助成金や交付金がないか確認する
  3. セキュリティの充実

それでは、一つ一つ説明していきます。

①初期投資を抑える

コワーキングスペース運営は、短期間で多くの利益が出るビジネスではないので、なるべく初期費用を抑えることが重要です。初期費用を抑えるための方法は次の3つです。

  • 物件の初期費用を抑えるために交渉する
  • 新品ではなく、中古家具を買う
  • 自分でできることは自分で行う(インテリアデザイン・宣伝等)

自分の店舗をオープンするにあたって、妥協したくないからと、あれもこれも手を広げたくなってしまう気持ちは分かります。しかし、それでは費用がいくらあっても足りません。

コンセプトに立ち返り「ここだけは力を入れたい」と思う箇所に優先してお金をかけ、その他はできるだけ費用を抑えるよう心がけましょう。

②助成金や交付金がないか確認する

地域によっては、自治体からの助成金(補助金)や交付金が得られる場合があります。また、街の活性化のために、商店街の空き店舗を利用したい人を募集している地域もあります。ぜひ一度、行政サービスや地域支援について調べてみましょう。

③セキュリティの充実

コワーキングスペースは自由に出入りでき、見知らぬ人同士が同じ空間で長時間過ごすため、安心して利用出来るようセキュリティの管理システムを充実させる必要があります。例を挙げると、防犯カメラや鍵付きロッカーの設置、会員用のICカードキーの導入などです。

24時間営業するか、受付は無人かスタッフを配置するかを考慮し、必要な安全対策を講じましょう。

最後に

今回は、コワーキングスペース開業の流れや押さえておくべきポイントについてご紹介しました。

開業を成功させるためには、一連の流れを理解し一つ一つを確実に進めていく意志の強さが大切です。そして、ターゲットのニーズに応えられるよう、提供できる付加価値を徹底的に考えられるかが鍵になります。

コワーキングスペース開業を考えている方は、この記事を参考に、まずはニーズの調査やコンセプト決めから気軽に始めてみてはいかがでしょうか。