多様な働き方を選択する人が増えつつある今日、「コワーキングスペースを利用したいけれど、情報漏洩の点に不安がある」「自分にできるセキュリティ対策がわからない」フリーランスやテレワークを行う会社員の方の中には、そんな悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
コワーキングスペースのセキュリティ面に少しでも不安がある方には、コワーキングスペースを選ぶ際に行う店舗のセキュリティチェックと、実際の利用時に自分で行うセキュリティ対策、という二重の対策がおすすめです。
そもそもセキュリティ対策が行われているコワーキングスペースを選ぶことで情報漏洩の予防になり、利用の度に自分で対策を行うことで、セキュリティ対策の効果がさらに高まるでしょう。
そこで今回は、コワーキングスペースの利用を検討している方に向けて、利用するコワーキングスペースを選ぶ際にチェックするべきポイントと、利用時に自分で行うことができるセキュリティ対策についてご紹介します。
ぜひ、今回の記事の内容を参考に、コワーキングスペースのセキュリティについての知識を増やし、安心して利用できるようにしてください!
利用するコワーキングスペースを選ぶときには、店舗がどのようなセキュリティ対策を行っているのかをチェックしておく必要があります。
コワーキングスペースとは、オフィスを所有していないフリーランス、リモートワークの場所を自宅以外に設けたい会社員のほか、シェアオフィスとしての機能を求めている起業家など、さまざまな人たちが利用するオープンスペースのことです。
コワーキングスペース内では、必ずしも知り合い同士ではない人たちが同じスペースで仕事をしているため、常にセキュリティ面の不安がつきまといます。
また、コワーキングスペースによっては、定期的に顧客を呼び込むイベントを開催している店舗もあり、利用者ではない人たちの出入りが頻繁にあるコワーキングスペースも多いです。
そのため、情報漏洩やデータの紛失等のリスクを減らすためにも、コワーキングスペースを選ぶ際には、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。コワーキングスペースを選ぶときにチェックするべき店舗のセキュリティ対策は、次の9つです。
それでは、一つ一つ解説していきます。
1つ目のチェックポイントは、ドロップインサービスが導入されているかどうかです。「ドロップインサービス」とは、時間単位でコワーキングスペースを利用することができるサービスのことで、これを導入していると、会員ではない人たちも自由に店舗を利用することができます。
一般的に、コワーキングスペースは月額会員制のところが多いですが、最近では気軽な利用を促したり雰囲気を味わってもらったりといったお試しの意味でも、ドロップインのプランを提供している店舗が増えているのが現状です。
もちろんドロップインサービスには、コワーキングスペースを実際に利用してから会員に申し込むことができるといったメリットもあります。しかし、不特定多数の利用者が存在することになるため、セキュリティ面を考えると、不安要素が大きいサービスのため、ドロップインサービスを導入していない月額会員制の店舗を選んだ方が安心です。
2つ目のチェックポイントは、ICカードやスマートフォンなどを使って利用者のみが入館できるようなシステムがあるかどうかです。
不特定多数の人が自由に出入りできるような場所だと、盗難や情報漏洩のリスクも当然高まります。そのため、利用者専用のICカードや携帯端末、生体認証を使って、前もって登録されている会員でないと入場することができない入退出管理システムが導入されている店舗を選ぶのがおすすめです。
3つ目のチェックポイントは、有人受付かどうかです。スタッフが見えやすいところにいないとなると、不審者が侵入する可能性が高まり、利用者同士のトラブルが起こった場合の対応やその後のサポートにも不安が生じます。
そのため、コワーキングスペースを選ぶ際には、完全無人化された店舗ではなく、スタッフが受付に常駐している店舗を選ぶことをおすすめします。
4つ目のチェックポイントは、鍵付きロッカーが設置されているかどうかです。なぜなら、席に持ち込む荷物はなるべく少ない方が管理がしやすいため、使わない荷物を預けられるロッカーがある店舗の方が、盗難等の被害にあう可能性が低いからです。
そのため、コワーキングスペースの設備面では、鍵付きロッカーが設置されているかどうかも、事前にチェックしておくことをすすめします。また、ロッカーが設置されていても、鍵が壊れたままになっているなど安全面に不安を覚えるような店舗の利用は、できる限り避けましょう。
5つ目のチェックポイントは、 第三者が無線LANやWi-Fiを利用できないようになっているかどうかです。なぜなら、コワーキングスペースの中には、その場にいれば誰でも利用できるフリーWi-Fiが採用されていたり、パスワードが施設内に大きく張り出されていて、実質誰でも利用できるようになっていたりするような店舗も存在しているからです。
そのため、コワーキングスペースを選ぶ際には、利用者以外がWi-Fiや無線LANを利用できないようなネットワークセキュリティの対策がきちんとされているコワーキングスペースを選びましょう。
6つ目のチェックポイントは、コワーキングスペース内にシュレッダーが設置されているかどうかです。シュレッダーが店舗内にあると、不要になった書類をその場ですぐに破棄することができるので、紛失や盗難等を未然に防ぐことができます。
7つ目のチェックポイントは、 ICカードを使って使用するコピー機や複合機が設置されているかどうかです。 ほとんどのコワーキングスペースには、コピー機や複合機が設置されていますが、ICカードや指紋認証ができるタイプでないと、書類の取り違えが発生する恐れがあります。
そのため、コピー機や複合機を利用する可能性が高い方は、コワーキングスペースを探す際に、設置されているコピーや複合機がICカードを必要とするタイプなのかまで気にしておきましょう。
また、コピー機の設定が印刷データが蓄積しない設定になっているかまで確認できると、データ流出の危険性がより回避できるので、できることならチェックしておきましょう。
8つ目のチェックポイントは、防犯カメラが設置されているかどうかです。なぜなら、防犯カメラの設置には、犯罪を抑制する効果があるからです。
防犯カメラの活用のタイミングは、何か事件や事故が起こってからにはなりますが、セキュリティ対策としても有効な設備の一つと言えます。そのため、できる限り防犯カメラが設置されているコワーキングスペースを選ぶことをおすすめします。
9つ目のチェックポイントは、 個室や会議室など防音機能のある部屋があるかどうかです。なぜなら、情報漏洩の主な原因の一つが、電話や会議の音声が外にうっかり漏れてしまうことだからです。
どんな人たちがどんな目的で利用しているのか分かりにくいコワーキングスペース内で会話を聞かれてしまうリスクを避けるためにも、防音の会議室や個室があるのか、事前にチェックしておく必要があります。
そのため、情報漏洩を避けるためはもちろん、他の利用者の仕事の邪魔をしないための配慮という意味でも、会議や電話を頻繁に行う方は、注意しておきましょう。
また、仕事に集中できる環境を求めて、オープンスペースではなく個室が完備されたコワーキングスペースを利用したいと考えている方は、事前にどんなスペースなのか見学させてもらっておくと、「思っていたのと違った」という事態を避けることができます。
サイトやチラシに「個室完備」と記載があるケースでも、実際は簡単なパーテーションが置いてあるだけ、という可能性も否めません。立ち上がれば隣の人のパソコン画面がばっちり見えてしまうような作りであれば、セキュリティ対策としては不十分です。そのため、完全な個室を希望している方は、一度見学をしてからコワーキングスペースを選びましょう。
コワーキングスペースを選ぶ際のチェックポイントを見てきましたが、セキュリティ対策はそれだけ気をつければいいという訳ではありません。いくらセキュリティ対策が念入りに施されたコワーキングスペースであっても、利用する際に自分自身が注意を怠れば、トラブルに巻き込まれてしまう可能性も少なからずあります。
そのため、コワーキングスペースを利用する際には、毎回自分自身で情報漏洩や盗難を防ぐための対策を万全に行わなければいけません。コワーキングスペースを利用するときに自分で行うべきセキュリティ対策は、次の6つです。
それでは、一つ一つ解説していきます。
1つ目の対策は、パソコンやスマートフォン、USBを他人が勝手に扱ったり見たりできないようにすることです。なぜなら、コワーキングスペース利用時に、自分がふと席を外したタイミングで、パソコンやスマートフォンを他人が触ってしまい、盗難や破損につながる可能性があるからです。
また、意図はなくても、画面が偶然目に入ってしまったという状況も十分あり得ます。こうした事態を避けるためにも、コワーキングスペースに持ち込むパソコンやスマートフォンには必ずパスコードを設定したり、のぞき見防止のフィルターをつけたりなど、できる限りの対策を行うことが大切です。
また、USBを使用する場合は、パスワードが設定できるタイプのものを選び、紛失や盗難時のリスクに備えましょう。
2つ目の対策は、コワーキングスペース利用時のセキュリティ対策として、人気のグッズやアプリを用意しておくことです。なぜなら、自分一人の力で盗難対策を行うより、機械に頼った方が盗難から身を守れる可能性が高まるからです。
最近では、利用者が席を立っている時に荷物が動くとアラームが鳴る「モニタリングアラーム」や、荷物につけておくことで、無くした時にスマートフォンを使って荷物を見つけることができる「スマートタグ」や遠隔操作でロックをかけることができるアプリなど、盗難や紛失対策として便利な物やサービスが増えてきています。
以上のような自分の用途に合った道具やアプリを使って、盗難対策を強化しましょう。
3つ目の対策は、書類を入れているカバンをロックしておくことです。なぜなら、セキュリティ対策がしっかりとしてあるコワーキングスペースであっても、盗難の可能性はゼロではないため、万が一持ち去られてしまったときの対策も講じておく必要があるからです。
大事な書類や高価な機器類が入ったカバンが盗難にあうリスクや離席時にカバンを開けられてしまうリスクに備えて、使っていないカバンにはロックをかける癖をつけておきましょう。
4つ目の対策は、ロッカーを利用することです。なぜなら、コワーキングスペースを利用する際には、盗難や紛失対策のためにも、席に持っていく荷物は最小限にすることが大切だからです。そのため、使わない荷物がある場合は、鍵付きのロッカーに預けておくようにしましょう。
また、コワーキングスペースによっては、重要物保管のためのロッカーを設置している店舗もあります。こうしたロッカーは有料の場合も多いですが、重要書類やデータをなるべく持ち歩かないようにするためにも、積極的に利用することをおすすめします。
5つ目の対策は、不要になった書類は自宅に持ち帰らず、こまめにコワーキングスペース内のシュレッダーを使って廃棄することです。
なぜなら、盗難や紛失をはじめ、何かの拍子に他の人の書類に紛れ込んでしまうことも、決してあり得ない話ではないからです。そのため、重要機密や個人情報などの流出を防ぐためにも、書類の管理には細心の注意を払いましょう。
6つ目の対策は、電話や会議などでの会話を他人に聞かれてしまわないように、周囲に気を配ることです。なぜなら、いくらデータ管理に神経を使っていても、会話が筒抜けであれば、そのセキュリティ対策も意味を成さないからです。
他人の迷惑になってしまう可能性も考えて、電話や会議をする際は、会議室や防音ルームを利用するように心がけましょう。
今回は、コワーキングスペースを選ぶときにチェックするべきポイントと利用する際に自分で行うべきセキュリティ対策についてご紹介しました。
コワーキングスペースは、見ず知らずのいろいろな人たちが出入りする場所であるため、自分のオフィスや自宅を仕事場としている場合には必要のない、入念なセキュリティ対策を行わなければなりません。
そのためには、利用するコワーキングスペースを選ぶときに、設備やサービスとしてセキュリティ対策に力を入れている店舗を見抜き、さらに、実際に利用するときに自分でできる最大限の対策を行う必要があります。ぜひ、今回の記事を参考に、セキュリティ対策を万全に行いながら、コワーキングスペースを利用しましょう。
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