なぜ、自分は起業しよう、独立しようと思うのかを、明確にします。テキストメモでもいいのですが、新たに起業を志した記念に専用のノートか、手帳を奮発しましょう。思いついたこと、ひらめいたことをどんどんメモしていきます。頭のアンテナを、起業にフォーカスしていると、新聞、ネットニュース、テレビなどには、いい情報や有用なニュースが飛び交っていることに気が付きます。家族や友人の中にも、そのような視点をもっている人がいれば、相談したり、アドバイスを求めたりしていると、自分では気づかない情報を得ることが出来たり、自分の甘さを教えられたり、勇気づけられたりします。ぜひ、自分の考えを誰かに伝え、目標を確固なものにしていくことです。
自分が子供の頃、好きだったことはなんだったろう。自分が人より、優れていたり、上手に出来ることはなんだろう。自分には一生懸命に勉強をして取った資格がある。勤務先で、誰にも負けないこのスキルを身につけた。仕事の中でこの分野に関しての深い知識を身につけた。自分はこれを仕事にしたら、やりがいを感じるし、嬉しいし、充実した人生を送れるだろうな。・・・と、楽しく考えてみて下さい。
独立を決めたら、いつ頃までに起業するのかを決めます。半年後かもしれなし、1年後かもしれません。その期間は、現在の勤務先で働きながら独立に向け、準備やさらなる勉強の時期、お金を貯める時でもあります。独立してからの当面は、利益が出せないかもしれませんが、生活費は同じようにかかります。当面の生活費は、教育費がかかる子供がいるか、住宅ローンの有無や、共稼ぎかなど、個々人の状況で違います。会社員時代の給与が、途絶えても半年から1年間は暮らしていける貯蓄があれば、途中でメンタルを壊すことなく、初志貫徹を目指せます。大きな気持ちで起業を続けることが出来ます。半年、1年と努力を続ければ、クライアントもついてきて、波に乗ることが可能となるでしょう。
次に、起業資金です。起業資金には、開業資金と運転資金、設備資金があります。起業して半年や一年は、思うように利益が出ない場合も考えておきます。十分な資金を貯めてから、スタートするのが理想的なのは、わかっていますが、なかなか、起業する人が全員出来る訳ではありません。そんなときは、融資や助成金をあらかじめ検討しておきます。計画通りに行かない場合は、まずAの融資を申し込む準備や資料を用意します。次に、Bの助成金も申し込む準備をしておきます。時間があれば、利用する予定はなくても、何種類かの融資や助成金の資料を集めておくのも、安心ですし、いざという時の力になります。
開業資金の中で、大きなウエイトを持つ、事務所費用も、最近はコワーキングスペースを利用して初期費用を安く抑える起業家が多くいます。コワーキングスペースなら、立地的にも、都心や、自分の動きに合わせた場所で、仕事が可能になります。プリンターなどの設備も、装備されていて、自分で揃える必要がなくスタート出来るなど、メリットも大きく、同じような起業家の仲間が多く集まる場所での活動は、一人ではないという職業意識を持続させてくれでしょう。
会社の設立に関しても、法定費用として、税金がかかります。法定費用とは、会社設立の手続きをするために、法的に定められた税金のことです。またこの費用は、「定款に関する費用」と「登記に関する費用」に分けられます。株式会社の「定款に関する費用」は、「定款認証手数料」「印紙代」「定款の謄本費用」の三種類あります。合同会社は「印紙代」「定款の謄本費用」の2種類です。
独立すれば、個人で国民年金・国民健康保険等に加入しますし、法人化や個人事業主でも5人以上の従業員を雇用する予定であれば、社会保険や厚生年金に加入する義務があります。雇用保険の加入もありますし、社会保険は、半分は事業主が負担することになります。
株式会社の登記費用としては、「登録免許税」がかかります。課税資本金が2,143万円未満であれば、15万円です。2,143万円以上は「資本金×0.7%」になります。
合同会社の場合の「登録免許税」は、課税資本金が858万円未満であれば、6万円です。858万円以上は「資本金×0.7%」になります。
その他の費用として、印鑑の作成や、印鑑証明の発行手数料などでも、2万円前後の費用が」かかります。
資本金とは、事業を始めるにあたり、会社が持つ運転資金のことです。新会社法の施行によって、1円からでも会社の設立が出来るようになりました。しかし、会社の運営は、始めは資本金を使います。あまり少ない金額では、会社の運営に支障をきたします。
また、資本金が1,000万円を超えてしまうと、会社設立1年目から消費税を納めなくては、なりません。特別な理由がない限りは、資本金は1,000万円未満が、妥当かと考えます。
株式会社とは、まず「株式」を発行します。その「株式」に対して、多くの人に「出資」してもらうことで、お金を集めます。その集めたお金を元に、商品を作ったり、サービスを提供して、お金を生み出して行きます。生み出されたお金の中から、社員に給料を払ったり、出資してくれた株主に「配当」を出したり、もっと事業を拡大していくために、設備投資をして機械を買ったり、建物を建てたりするのです。こうしたことを繰り返していくなかで、会社を大きく、強固な組織にしていくことが、株式会社の形なのです。株式会社は、実際に事業を行う経営者と、株式を保有する「出資者」いわゆる「株主」が、別々です。出資者は、自ら経営を行うことは出来ないが、株主総会で選任された「取締役」に経営を委任することで、事業をコントロール出来ることになります。
合同会社の、株式会社と異なる点は、経営者と、出資者が同じになります。「出資者=会社の経営者」ということです。出資者全員が「有限責任社員」となります。「有限責任」とは、会社に負債が発生した場合でも、出資者は出資額以上の負債の責任うを負う必要がありません。出資者が連帯して支払い義務を負う「無限責任」よりも、リスクが少なく出来ます。設立にかかる資金も安くあげることが可能です。出資比率に関係なく利益の配分も自由に決められ、決算公告に義務もありません。このようなことから、合同会社は、初めて起業を考えている方には、株式会社よりも、メリットが大きいと考えられます。ただ、比較的に新しい会社形態であることから、社会の信用度は、株式会社よりも下に見る傾向があります。しかし近年は、「アップルジャパン」や「グーグル」なども合同会社ということもあり、信用度、認知度も上がって来ています。その他のデメリットとしては、社員の中で、経営に関してなどで、意見が合わず、退社を選んだ場合は、出資金を払い戻さなければならないケースもあり、資本金が減少するリスクはあります。
いざ、起業を決意してから、辞めるまでの間でも、会社に対して最後まで真摯に勤め上げることです。起業してからでも、今の仕事と関連があれば、なおさら、会社のあなたに対する印象を良くしておくことは、今後に大きなプラスになります。付け焼き刃的でなく心から、勉強させてもらった会社や、上司、同僚、お客様のすべてに感謝の気持ちを持つことです。今の会社が、取引先企業の一つになることもあります。会社員時代のお客様が得意先になってくれる場合もあります。会社員時代は誰でも、嫌な上司や同僚がいるものですが、そこも含めて、起業に挑戦する自分を作ってくれたのです。他にも、友人や、家族も、将来的に事業が拡大して、一人では手一杯になった時に、協力を求めることがあるかもしれません。常に、周りに感謝し、「人」を大事にしていきましょう。
起業家として成功した人たちの経験談や、政府系金融機関の融資担当者のお金の借り方のアドバイスが聞けます。中小企業診断士から、事業を始めるにあたっての、法律や、自分が始めようしている事業内容についての、相談も出来ます。どのような宣伝方法が有効かとか、様々のカリキュラムが用意されています。参加者の多さに、自分と同じように、起業を目指していることに心強さも湧いてきます。同じ目的、同じ意識を持つ仲間に出会えることで、自分の意識もしっかりとした起業家になっていきます。普段は、ビジネスを始めようという人には、なかなか出会えませんが、起業家セミナーに参加すれば、同じ目的を持った仲間を作ることも出来ます。その中から、ビジネスの相談相手や、取引企業となる友人を見つけられるかもしれません。有意義な時間となるでしょう。
何年かして、起業家として成功しても、その手帳はずっと持ち続けて、初心に帰って、気持ちを新たにしてみるのも良いと思います。
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