会社ではテレワークが推奨され、フリーランス人口が増えつつある今日、「コワーキングスペースを利用したいけれど、慣れていないので不安がある」「いろいろなコワーキングスペースがあるが、どうやって選んだらいいのかわからない」といった悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
フリーランスになったばかりの方や起業した方、テレワークで初めてコワーキングスペースの利用を検討している方などにとっては、どんなコワーキングスペースを選んだらいいのか判断が難しいという方もいらっしゃるかと思います。
コワーキングスペースの利用に不安がある方におすすめの方法が、利用を検討している店舗の利用規約のチェックです。理由としては、先ず利用規約を見ることで、コワーキングスペースについての網羅された情報を知ることができるからです。
チェックの方法も簡単で、多くの場合、コワーキングスペースの店舗のホームページに掲載されています。そこで今回は、コワーキングスペースの利用規約は、どの部分をチェックしておくべきかや利用の注意点、他との差別化がみられやすいポイントについてご紹介します。
ぜひ、記事の内容を参考に、自分の目的に合ったコワーキングスペースを見つけましょう。
コワーキングスペースの利用規約条項には、施設およびサービスの内容について、漏れなく記載されています。コワーキングスペースの会員となると、利用規約にはすべて合意しているとみなされるので、必ず事前に目を通しておきましょう。
利用規約というと、細かな文字でびっしりと埋め尽くされた書類が思い浮かび、なかなか読もうという気持ちにはなりにくい書面ではあります。
しかし、利用者にとって不利な情報や注意点などは、規約を読んでいないと気づきにくいのも事実です。また、利用規約は改定されることもあるので、会員となったあとでも、コワーキングスペースからのメールなどのお知らせを随時気にしておく必要があります。
コワーキングスペースを利用した後に、「失敗した」と気づくことを避けるためにも、コワーキングスペースを利用する際には、利用規約をできる限り自らがチェックする必要があり、遵守する義務があります。
しかし、利用規約の全部を読み込んで理解しようとすると、どうしても時間と労力がかかってしまいます。そこで今回は、特に気を付けて見ておくべきコワーキングスペースの利用規約の注意事項の一部を厳選して6つ、ご紹介します。
それでは、一つ一つ見ていきましょう。
利用規約で注意すべき点1つ目は、サービス内容です。コワーキングスペースのサービス内容では、利用を検討している店舗の料金システムが、月額会員制のみなのか、ドロップインサービスも利用できるのか、という点をチェックしておきましょう。
ドロップインサービスがある場合は、手間や時間のかかる会員の登録をせずに利用ができ、時間単位や1日単位での支払いとなるので、月額利用の申し込みを行う前にお試し感覚でコワーキングスペースを利用することができます。
そのため、ドロップインサービスは、他のコワーキングスペースと比較して決めたい人にとっては、ありがたいサービスです。ドロップインは、月額制と比べると割高なことも多いですが、外での仕事が多い人の場合は、ドロップインでの利用の方がお得なケースもあります。
利用規約を読んで、自分の利用頻度から合理的に判断し、そもそもコワーキングスペースを利用するのか、そして利用する際にはドロップインサービスと月額会員制のどちらを選択するのかを決めましょう。
利用規約で注意すべき点2つ目は、営業時間です。 営業時間でチェックしておくべきポイントは、自分が稼働する時間帯とコワーキングスペースが利用できる時間帯がマッチしているかどうか、という点です。
コワーキングスペースの中には、24時間ずっと営業していることをアピールポイントにしていたり、平日と土日祝日で営業時間帯が異なっていたり、年末年始など定休日や運営の都合で一時使用休止の期間を設けたりしているところもあります。
コワーキングスペースを使いたいときに使えない状況が起こらないようにするためにも、自分が利用したい時間帯に確実に作業ができる店舗を選びましょう。
利用規約で注意すべき点3つ目は、設備の利用です。 インターネットやコピー機といったコワーキングスペースの設備利用に関する注意事項にも目を通しておくことが大切です。
コワーキングスペースの当該設備を利用した結果、起こったエラーや機械の不具合などのトラブル、個人情報や機密情報の漏洩については、基本的に運営会社側は免責となります。つまり、利用者側が被害を被っていても、最終的には自分で責任を負う必要があり、コワーキングスペース運営側の返金対象にはなりません。
地震などの天変地異や、火災・停電・工事などを含む不可抗力が原因でコワーキングスペースの利用者側に損害が生じた場合も、同様の恐れがあります。
コワーキングスペースの設備を利用する際には、「設備の管理点検コストが低い」というメリットがある反面、こういったリスクがあることを分かった上で利用することをおすすめします。また、コワーキングスペース内のコピー機を利用するときに、別途費用が発生するケースもあるので、コピー機の利用が多くなりそうな人は、その点も頭に入れておきましょう。
利用規約で注意すべき点4つ目は、備品の貸し出しサービスです。 コワーキングスペースで、ホワイトボードやプロジェクター、マイクなど会議で用いる備品やパソコン関連の機器、文房具の貸し出しサービスを利用しようと考えている方は、貸し出しサービスの注意事項や有無について、申込前にチェックしておきましょう。
これらの備品は、前もって予約しておかないと使えない場合もあるので、どういう方法で利用できるのか把握しておくことが大切です。
また、借りた備品を毀損・汚損・紛失させてしまった場合、その損害賠償については、過失であっても「全額利用者に請求する」という記載がある利用規約もあります。コワーキングスペースの備品の使い方には、十分気を付けましょう。
利用規約で注意すべき点5つ目は、禁止行為です。 コワーキングスペースは、多くの人たちと共有で使うスペースです。そのため、当然ですが利用させていただく側として他の人に迷惑をかけるような不適切な行為や事故の危険性がないよう、利用規約に基づき禁止の事項が細かく制定されています。
コワーキングスペースを経営している側は、利用者間のトラブル防止やスタッフ・建物の安全確保のためにも、細かな規定を定める必要があるのです。利用規約に記載されている施設利用の原則や主な禁止行為は、以下のとおりです。
コワーキングスペースの利用規約の本条に基づく禁止行為に該当するいずれかを行ったと判明した場合、運営側は利用者を契約違反とみなし、一切の協議や同意、契約終了の通知や催告なしに速やかに契約を解約することができます。
そして、一方的にコワーキングスペースの会員の権利を剥奪するといった措置を講ずることが定められています。また、コワーキングスペースの契約の解除に関係した異議の申し立ても許されないケースがほとんどです。
契約解除に伴い、時としてコワーキングスペースの運営側から直ちに法的手段によって何らかの相当な損害賠償を請求されることもあるので、予めその旨を必ずチェックしておく必要があります
。事業内容が適切かどうか、迷惑行為にあたらないか判断する際には、禁止事項の記載のあるなしにかかわらず、解釈が異なる場合もあることを考えて、相手方の了承を得てから行うようにしましょう。
利用規約で注意すべき点6つ目は、住所利用サービスです。 住所利用サービスとは、コワーキングスペースの住所や電話番号、FAX番号を株式会社など法人の所在地や番号として名刺やホームページに表記することを認めるサービスのことです。
各社の住所利用サービスの中には、コワーキングスペースの住所を会社の登記に用いることを許可しているものもあります。このサービスを希望する人は、事前に登記への住所利用が可能かどうか、店舗に問い合わせて確認しておくことをおすすめします。
また、郵便物や宅配物の受け取り場所として、コワーキングスペースの住所を指定できるサービス提供をしている店舗もあるので、必要な方は合わせてチェックしておきましょう。
コワーキングスペースを選ぶ際には、利用規約を参考に、いくつかのポイントに注意を払う必要があります。気を付けるポイントが前もって分かっていると、自分の用途に合った店舗かどうかを見極めやすくなるのです。
コワーキングスペースとは、フリーランスやオフィスを所有しないノマドワーカー、リモートワークのスペースとして利用したい会社員、共有オフィスとしての役割を求めている起業家等、さまざまな立場の人たちが利用するワークスペースです。
そのため、どの立場の人たちをターゲットに据えているのかによって、各店舗のサービス内容が異なります。つまり、自分に合った店舗を見つけるには、まずは“店舗選び”に重きを置く必要があるということです。
自分に合った店舗を選ぶときに注意するべきポイントは、次の6つです。
それでは、一つ一つ解説していきます。
コワーキングスペースを利用する際には、第一に、自分の利用目的をはっきりさせておくことが大切です。店舗によってサービス内容には違いがあるため、利用目的があやふやでは、自分に適した店舗を選ぶことができません。
他の利用者と交流をしたいのか、低価格で長期的に利用しやすい場所を探しているのか、快適に仕事ができる充実した設備を重視しているのかなど、できる範囲で具体的に目的や用途を設定しておきましょう。
そうすることで、実際に利用する店舗を選ぶ際にも、軸がブレることはありません。自分が後悔しないためにも、コワーキングスペースに何を求めているのか、はっきりさせておきましょう。
自分の目的とマッチングした店舗を見つけるためには、実際にその店舗を利用している人たちの特徴や目的を理解しておくことが大切です。
そのためにも、時間単位や1日単位でワークスペースが利用ができる「ドロップイン」というプランを利用して、長期利用の申し込みをする前に、どんな人たちがどのように利用しているのかを一度確かめておくことをおすすめします。
特に、他の利用者との円滑なコミュニケーション目的でコワーキングスペースを利用しようと考えている方は、事前に店舗の雰囲気を知っておくことができると安心です。店舗とのミスマッチを防ぐためにも、自分と同じような目的で利用している人が多いところを選びましょう。
コワーキングスペースは、一人一人の空間に区切られていない、オープンスペースになっている場合が多いです。そのため、周りの雑音が気になるタイプの方は、個別のワーキングスペースが確保されている店舗を選び、事前に見学させてもらっておくと失敗しにくいです。
また、会議室やホワイトボードが完備されているような、複数人での利用を想定している店舗では、人の出入りや会話も、その分多くなることが予想できます。静かな場所で集中して仕事をしたい方は、その点注意が必要です。
コワーキングスペースは、常に人の出入りがあり、どんな人たちが利用しているのか分からない環境のため、情報漏洩のリスクが高いことを分かっておく必要があります。何かトラブルがあったとしても、ほとんどの場合、利用者の自己責任だとみなされるでしょう。
そのため、情報漏洩・紛失・盗難のリスクに備え、店舗内に持ち込むものは、自身ですべてを把握しておく必要があります。また、重要な書類やデータなど機密情報の類を扱うときは、不要となったものはその都度必ず処分し、なるべく持ち歩かないよう気を付けることが大切です。
コピー機やWi-Fiなど共用する設備が多いことも、便利ではありますが、リスクという意味では懸念材料の一つになることを理解しておきましょう。
基本的に、コワーキングスペースは月額の会員制ですが、なかにはドロップインサービスという1日の時間単位で利用できるプランが用意されている場合もあります。ドロップインサービスがあると、1ヶ月分を支払う前に1回お試し利用することができるため、選び方の幅が広がります。
また、施設内に月額制で利用できる部分と利用する度に別途、支払を負担する必要がある部分が存在する店舗もあります。自分がコワーキングスペースをどのように利用したいのかをベースに、最適な料金プランかどうかを見極めることが大切です。
施設やサービス内容によって、店舗ごとに料金は大きく変わるので、予算を意識しつつ料金プランの内容に納得できる店舗を選びましょう。
コワーキングスペースは、店舗によってサービスや建物の設備の内容に大きな特色があらわれます。そのため、どういったサービスを提供しているのか、どんな設備があるのかを事前に把握しておくことは、店舗の特徴と自分の利用目的のミスマッチを防ぐカギになります。
イベントを開催したいなら、顧客を集められるようなスペースがあるのか、試食会を行いたいならキッチンが設置されているのか、リラックスしながら長時間作業がしたいならフリードリンクのサービスがあるのかなど、利用目的や用途に、利用予定の店舗のサービスや設備内容が合っているのかを意識しながら、店舗を選ぶことをおすすめします。
また、それらにかかるサービスの手数料についても、詳細を把握しておきましょう。
コワーキングスペースは、店舗によって、その設備やサービスは大きく異なります。なぜなら、利用者がコワーキングスペースに求める設備やサービスは、必ずしも同じではないからです。
一人で集中できる作業スペースを求めていたり、事業のチャンスを広げるために他の利用者とのコミュニケーションや講習会の開催を求めていたり、オフィスを借りる費用を抑えるために利用したりなど、利用者の目的はさまざまです。
自分の用途に合った店舗なのかを見極めるためにも、利用開始する際には、どのような差別化を図っている店舗なのかを押さえておく必要があります。他との差別化がなされやすいポイントは、次の6つです。
それでは、一つ一つ解説していきます。
他との差別化がなされている点1つ目は、会議スペースが設けられている点です。 複数人での会議をコワーキングスペースで行いたい利用者のために、店舗によっては会議スペースが設けられているところがあります。
自分のオフィスがない場合、打ち合わせを行おうとすると、貸会議室や飲食店が場所の候補にあがりますが、コワーキングスペースの会議室の方が価格が安く、利便性に優れているケースも十分にあり得ます。
最近では店舗の中に会議スペースが確保されているところも多くなってきているので、会議室が利用できる店舗を見つけることは、そう難しくありません。
中には、ホワイトボードを借りることができたり、フリードリンクが利用できたりなど、快適なサービスで多店舗の会議スペースとの差別化を図っている店舗もあるので、会議スペースを利用したい場合は、どこまでのサービスが自分に必要かを見極めて選びましょう。
他との差別化がなされている点2つ目は、他の利用者との交流が推奨されている点です。 店舗によっては、他の利用者とコミュニケーションが取れることをアピールポイントとしているところもあります。
フリーランスや起業家など、コワーキングスペース利用者の中には、人脈づくりや情報交換、他業種との交流を目的としている人たちも一定数存在しているのです。一人や少人数で仕事をしていて行き詰ってしまったときには、他の人との交流があると、いい刺激をもらうことができるでしょう。
コワーキングスペース主催で、利用者同士の交流を促すようなイベントを頻繁に開催しているような店舗もあります。他の利用者との交流ができることを重視して利用する店舗を選びたい方は、より自分が出会いたい人たちと交流がもつためにも、イベント内容や頻度なども合わせてチェックしておくことをおすすめします。
他との差別化がなされている点3つ目は、設備の充実具合です。 コワーキングスペースの設備として完備されているものの例を10個あげています。
店舗によって、設備の内容は大きく変わります。そのため、設備の内容を自分の利用目的と照らし合わせながら利用する店舗を選ぶことが大切です。
他との差別化がなされている点4つ目は、サービスの内容です。 コワーキングスペースのサービス内容として主なものの例を7つあげています。
店舗ごとに、どんな人たちをターゲットにしているのかが異なるため、サービス内容も店舗ごとに大きく変わります。サービス内容が自分の利用目的に合っているのかを考慮しながら店舗を選びましょう。
他との差別化がなされている点5つ目は、イベントの開催が許されている点です。 コワーキングスペースには、セミナーなどのイベントの開催が許されているところと許されていないところの両方が存在します。
イベントの開催が認められていても、利用者同士がコミュニケーションを取るためのイベントのみがOKで、外部の顧客を集めるのはNGであったり、アルコールの提供がNGであったりなど、店舗によってその規定はさまざまです。
自分が主催者としても参加者としても、どのようなイベントの開催を希望しているかを考えたうえで、その条件に合った店舗を慎重に選びましょう。
他との差別化がなされている点6つ目は、個別スペースが完備されている点です。 コワーキングスペースは、基本的にオープンスペースとして作られていますが、中には個別のワークスペースを完備しているところもあります。
「自宅では仕事に集中ができない」など、一人で業務に集中したいために利用しようと考えている方は、個別のワークスペースがあるところを選びましょう。
また、個別のスペースがあるとホームページなどに記載があったとしても、空間が区切られているだけで個室ではなかったりなど、自分の想像しているような個人スペースではない可能性もあります。そのため、どういった作りになっているのか、事前に見学しておくことをおすすめします。
今回は、コワーキングスペースを利用する前にチェックしておくべき利用規約のポイントや店舗選びの注意点、他店との差別化が見られる点についてご紹介しました。
コワーキングスペースは、店舗によって設備やサービスが大きく異なるため、自分の用途や目的に合った店舗を選ぶためには、利用規約をチェックすることが大切です。企業の利用規約には、知らなかったでは済まされない情報や規則も漏れなく記載されています。
場合によっては、一方的に損害賠償が請求されることもあり得るので、十分注意して見ておきましょう。要するに、利用者にとって得な情報ばかりを仕入れるのではなく、注意点もあらかじめ自身で把握するように心がけることが、店舗選びで失敗しないコツです。
また、利用している間も利用規約の変更や更新手続きの連絡、移転に伴う重大な緊急告知等がないか継続して注意を払うことをおすすめします。ぜひ、今回の記事を参考に、前もって利用規約をチェックしてからコワーキングスペースを利用させていただきましょう。
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