日本に住む人(日本人の他、外国人登録をして3か月以上日本に滞在すると認められた外国人など)は、医療保険制度により、何らかの公的医療保険に加入することが義務付けられています。その日本に居住する人の3割近くが加入する国民健康保険の基本から、加入や保険料のこと、脱退の手続き、給付などについて質問形式でお答えします。
病気やけがをして、医療機関で治療を受ける際には、保険証を提示して原則3割負担分の支払いだけで済みます。残りの7割は、後日、国民健康保険の運営元である市区町村が国保連合会を経由して医療機関に支払っています。
このように誰でも、高額な医療費が掛かるかもしれない病気やけがにあった際に、経済的に少ない負担で治療ができるようにするための制度です。保険料を一人ひとりが負担し、集まった保険料の中から7割分を医療機関に支払うことで、医療機関は、病院や医院を運営出来ます。
一人の大切な命を守る相互扶助、助け合いの制度です。
会社員など職場の健康保険、公務員や私立学校の先生などの共済組合に加入している人、特定業種の組合国保等に加入している人以外の、商店を経営している自営業やそこで働いている人、漁業、農業などに従事している人、パートやアルバイトの人、退職後に再就職していない人など、日本に住んでいる人で、国籍を問わず職場等の健康保険や、どこにも加入していない人が入る医療保険です。
お住まいの市区町村の役所窓口の保険年金課です。職場を辞めて、すぐに次の職場に就職しない場合や自営業になった場合、子どもが生まれた場合、引っ越しした時など、必ず14日以内に手続きをします。手続きが遅れてしまうと、本来の加入日に遡って、保険料を支払うことになります。もしも、保険証がない状況で病気やけがをした場合には、一旦、治療にかかった全額を自己負担として支払うことになる場合もあります。そのような時は自分が役所に手続きにいけないかもしれないことも考え、無保険状態にならないようにすぐに手続きをすることが懸命です。
世帯主と加入対象となる家族のマイナンバーカードか通知カードと、世帯主の本人確認をするための書類(運転免許証、パスポート、年金手帳のいずれか一つ)、印鑑が必要になります。{年金の手続きも同時にすることになりますので、役所に行くタイミングで、年金手帳も持参して、国民年金の手続きも一緒にするといいでしょう。特に転居の場合には、住民票の届出と一緒に、同時に保険も年金も手続きをすると、何度も役所に行くことがなく、一度に終わります。}
また、職場の健康保険に加入していた場合は、「健康保険・厚生年金資格喪失届」も必要です。退職日の翌日の年月日等が記入されていて、いつまで職場の健康保険に加入していたかがわかる書類です。退職時に受け取ることができるように、事前に勤務先に発行を依頼するといいでしょう。
保険証は、手続きが済めば、即日で発行してくれます。手続き後に保険証を受け取って帰ることができます。
脱退に限り、インターネットでの手続きが可能です。市区町村の窓口に行くことなく、パソコンやスマートフォンで手続きができます。
まず、市区町村の「ネット窓口○○○」の「利用者メニュー」から、利用者登録が必要です。また届出の際には、新しく取得した健康保険証(加入した被保険者である本人、被扶養者である家族の方全員分)の写真、またはスキャンした画像を添付する必要があります。このインターネットでの脱退は、会社等の健康保険や国民健康保険組合への加入以外の他の理由では、利用は出来ません。
保険料の計算方法は、自治体によって計算方法が違いますが、基本となる計算の元になるものは、前年の1月から12月の収入、加入者数、年齢などになります。
加入者の所得に応じて負担する所得割額と加入者一人づつが負担する均等割額があります。所得割の料率や均等割額は、年度ごとに見直されます。事前に保険料のおおよその金額が知りたい場合は、市区町村の保険年金課に電話をして、大体の所得金額、加入人数、年齢を伝えると仮計算をしてくれます。
加入して、保険料が決まると、納付書が自宅に届き、金融機関やコンビニ等で納付します。毎月末日に預貯金口座から、自動的に支払う口座振替も利用できます。
保険料の金額は、前年の収入によって、毎年金額が変わります。
病気やケガで医療機関に外来や入院で受診した際には、保険証を提示することで、原則3割負担の支払いで済みます。
他にも、以下のような給付があります。
・入院時食事療養費
入院中の食事代については治療にかかる費用とは別に一部の自己負担ですみます。
・入院時生活療養費
(65歳以上)は、病院での居住費も給付されます。
・療養費
治療用のギプスやコルセットなどを作ったときも、申請をすると一部が払い戻されます。
・埋葬費
被保険者が亡くなられたときに申請により、手当が支給されます。
・高額療養費
高額な治療費を支払ったときに支給されます。
・出産育児一時金
子供を出産した時に申請すると支給されます。
その他には、40歳から74歳までの方は、特定健診(特定健康診査)を無料で受けられます。毎年4月頃、市区町村から受診券が郵送されます。生活習慣病の早期発見と予防のためのメタボリックシンドロームについての検査です。健診結果から、心臓病や脳卒中を予防するための、医師、保健師、管理栄養士など専門職の相談も無料で受けられます。
また同時に、風しん抗体検査(昭和37年4月2日~54年4月1日生まれの方)が受けられます。
前立腺特異抗原(PSA)検査(50歳以上の男性)も、自己負担が400円かかりますが、希望者は一緒に受けられます。
健診はお住まいの近くの指定医療機関で受けられますので、直接申込みます。
他の特典として、国保加入者は、通常よりも安い料金で海の家(民宿・ホテル)やプール、山の家(ホテル・旅館)等を利用できるような制度もあります。それぞれの自治体に問い合わせるか、県や市のたより(広報)等でもお知らせしています。
国民健康保険の保険料には、軽減・減免制度があります。
倒産、解雇、雇止めなどで離職し、保険料の支払いに困窮している方は、申請することにより、保険料が軽減される可能性があります。認められた場合、離職された方の「給与所得」を100分の30として保険料を修正計算してくれます。軽減期間は、離職年月日の翌日の属する年度の翌年度の3月までになります。
また、災害、長期にわたる病気やケガ、退職や事業の廃止により収入が著しく減少した、新型コロナウイルスに感染し、生活が著しく困窮している、新型コロナウイルス感染症の影響で退職や、事業の休廃止などで保険料の支払いが困難となった場合等も申請すると、保険料が減額または免除される可能性があります。
いずれも、証明できる書類(雇用保険受給資格証、診断書、災害証明書など)があれば持参し、窓口での相談をお勧めします。行くことが困難な場合は役所の保険年金課へ電話すると相談にのってくれます。
医療機関に治療のために支払う治療費が、一か月単位で、ある一定の金額を越えた場合、越えた治療費の金額が支給される制度です。月をまたがった場合はそれぞれ別計算になります。
計画的に手術や入院ができる状況であれば、1日から月末の間に入院・手術そして、退院となるように病院側に依頼するのも、医療費を安くする一つの方法です。
事前に入院をすることが、わかっている場合は「限度額適用認定証」を、保険証と一緒に医療機関の窓口に提示すると、支払い分から越えた金額を、差し引いてくれますので、退院時に多額の金額を用意することなく、安心して治療に専念できます。
この「限度額適用認定証」は、事前に役所の保険・年金課に申請します。郵送でも可能です。入院前に準備出来ない場合は、医療機関に直接、郵送してくれます。
限度額適用認定書の用紙はダウンロードするか、保険・年金課へ請求します。
一か月の上限額は、加入者が70歳以上とかと、所得水準によって決まります。
70歳未満の方は、月、医療機関、入院・外来、医科・歯科ごとに分けて、一部負担金が21,000円を超えたものが高額療養費の計算対象となります。
限度額適用認定証を使用しなかった場合は、高額療養費の支給対象になった月の翌々月の下旬(2月が対象月ならば4月)に、市区町村の保険年金課より、「支給申請書兼申立書」が送られてきます。送られた「支給申請書兼申立書」の用紙と以下の書類を持って保険年金課の窓口に行くか、以下の書類のコピーを添付して郵送して下さい。
・対象となる方の保険証
・手続きをされる方の本人確認書類(免許証、マイナンバーカードなど)
・銀行の通帳かカード
・念のために対象となった治療費の領収書
・印鑑
加入者本人が出産された時、申請することにより42万円が支給されます。
また、妊娠85日以上の死産、流産の場合も同額が支給されます。
支給方法は3通りあります。
1・直接支払制度
2・受取代理制度
3・後で国民健康保険へ請求する
医療機関により、直接支払制度や受取代理制度が利用できないこともありますのでその場合は、後で国民健康保険へ請求する方法になります。どちらの方法かを出産しようとする医療機関で早めに確認するといいでしょう。いずれも利用できない医療機関などで出産の場合は、国民健康保険より、出産費資金としての貸付制度もあります。方法は役所の国民健康保険給付課へ問い合わせて下さい。
3通りの内容や請求方法はそれぞれ下記のようになります。
国民健康保険から42万円を、直接出産した医療機関へ支払います。医療機関へはかかった出産費用から42万円を引いた金額のみの支払いになります。
医療機関に保険証を提示して、「直接支払制度」の合意文書に必要事項を記入して提出します。出産費用が42万円以下だった場合は、残りの差額分は国民健康保険へ
申請すると、差額分が振り込まれます。
出産予定日の2か月前以降に国民健康保険の給付課に連絡して、申請書を請求して下さい。郵送された申請書は、出産予定の医療機関で、「受取代理人の欄」に記入・押印をして頂き、郵送元の給付課に返送します。この申請書提出により、国民健康保険より、直接出産した医療機関へ42万円が支払われますので、出産費用から42万円を引いた金額の支払いになります。出産費用が42万円以下だった場合は、残りの差額分は世帯主の銀行口座へ自動的に振り込まれます。
医療機関へ、出産費用を全額支払い、国民健康保険へ申請することで、42万円が世帯主の銀行口座に振り込まれる方法です。「直接支払制度」を利用した方も、出産費用が42万円以下であった場合は、申請できます。
申請期間は出産した日の翌日から2年間です。
申請には下記のものが必要です。
①母子健康手帳(出生届出済証明をうけたもの)
②国民健康保険証
③世帯主の認め印
④世帯主名義の銀行口座番号
⑤領収明細書
⑥直接支払い制度を利用したか否かの合意文書(ダウンロードするか国民健康保険 の給付課へ請求して下さい。)
申請してから、振り込まれるまで1か月半程かかりますので、あらかじめご承知おき下さい。
国民健康保険の保険料や給付、手続きなどについては、自治体や市区町村によっても、若干の違いがありますので、疑問や困ったときには、役所の国民健康保険の窓口へ、お電話で問い合わせてください。詳しく説明してくれます。
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