SOHO(ソーホー)とは、Small Office/Home Officeの略称です。
「パソコンやIT技術を活用して、小規模なオフィスや自宅でビジネスを行うこと」や「概ね10人以下の小規模事業者のワークスタイル自体のこと」というよう意味合いで使われることが多いですが、正確な定義はありません。
また、テレワークやリモートワーク、在宅勤務などと同じ意味で使われていることもあり、不動産業界でSOHOというと、事務所兼自宅をさす言葉として使われています。
実際には、完全な賃貸オフィス、レンタルオフィス、シェアオフィスなどもSOHOと言いわれることもあります。 加えて、不動産業界では、SOHO物件、SOHOマンション、SOHO事務所などと、物件、マンション、事務所などをSOHOという単語にプラスして使う表現も見られます。
新型コロナウイルスの影響と重なり、テレワークが急速に普及し、働き方も多様化し、SOHOが益々、広がっています。
SOHOという言葉はアメリカ発祥で、一説では、ニューヨーク・マンハッタン南地区のソーホー街(South of Houston Street=SOHO、サウスオブハウストン)にかけた洒落からうまれたという説があります。
この説は、このようなものです。 1960年代後期に、ソーホー街に若き芸術家が集まり、アートや音楽など創造的な活動を行う。1980年代から90年代にはパソコンの普及や、ICTの発展に伴い、それらを駆使し、場所や空間を超えた新規ビジネスを創造しようとするコンテンツクリエーターなどの集団が出現しました。
そこで米国のマーケターが地区名のSOHOに「Small Office Home Office」をかけて、彼らを「SOHO」と呼ぶようになりました。 SOHOが日本で流行り始めたきっかけは、1996年頃に新聞で発表された以下の内容が発端とされている様です。
「このところ米国では、市街地の空きビルや倉庫の片隅に、小さなオフィスを構えたり自宅をオフィスとして使用し、パソコンと高速通信を利用して仕事をしている人が急増し、ベンチャーとして成功している者も居る。この事が米国経済を活性化している。小さなオフィスを”Small Office”、自宅オフィスを”Home Office”と呼び、両者を称してSOHOと言われ、ニューヨークのソーホー地区が最も盛り上がっている」 この内容を受け、マスコミやメディア、公官庁、企業が、流行のように、「SOHO」という言葉を使うようになりました。
2000年12月には、財団法人日本SOHO協会が公益法人として認可され、設立。 日本SOHO協会ではSOHOを「ITを活用して事業活動を行っている従業員10名以下程度の規模の事業者のこと。主にクリエイター、フリーランス、ベンチャー、有資格者、在宅ワーカーなどが対象」と定義しています。
一般賃貸オフィスは、基本的にはトイレやミニキッチンな専有部についていないものもが多く、住むことは機能的にできない場合がほとんどですが、SOHO(SOHO物件)は、あくまでも住むことを目的にした居住用の契約です。居住用ですから、お風呂、トイレ、キッチンなど住宅用の機能が付いています。
二つに明確な違いはありません。
ベンチャー企業も同じく小規模であり、場合によっては社長の自宅の1階が事務所というケースもありますが、多くのベンチャー企業は、最終的には株式公開を目指している企業を指すことが多い印象です。
その点、SOHO企業は、会社の拡大が目的でなく、自分一人か少人数の範囲で確実な利益を出し、継続的に事業を運営することを目的としている企業が多い印象です。
・適法に経費として計上できるものがある
SOHOはビジネスとなりますので、経費として計上できるものがあります。
例えば、下記が一例です。
【光熱費】
オフィスとして使用する面積と自宅として使用する面積の比率で按分(割合で計算)して、経費として計上できます。
【通信費】
仕事で使う頻度から計算して経費で計上できます。
【自動車等の購入】
減価償却費として経費で計上できます。
・働く場所や時間を自分の裁量で決められる。
SOHOでは、働く場所や時間を自分の裁量で決められます。
例えば、在宅ワークになり、通勤時間や移動時間がなくなり、通勤ラッシュに会わず、終電の時間を心配することもなくなります。移動や交通機関に関することから自由になります。結果的に、趣味やスポーツなど好きなことができる可処分時間が増えることになります。 また、子育てや介護などの必要がある方にとっても、仕事との両立がしやすくなる可能性があります。
高齢者や障害者にとっては、通勤は若い人や健常者に比べ、難儀な行動とされています。
自宅内にワークスペースがあることは、事故や感染症の心配や天候にも左右されず、
室内をバリアフー化すればストレスもなく、体の状況に合わせ社会参加することが可能になります。
SOHOとは?意味、生まれた背景、メリット、デメリット (2)
・来客について
SOHOでは基本、不特定多数の人の出入りは不可という物件が多く、マンションの一室などをSOHO事務所して使う場合は、管理規約などで、不特定多数の出入りを禁止していることがほとんどです。また、取引先や来客に生活感をみられてしまうことをデメリットと考える方もいます。
・生活について
人によっては、仕事とプライベートの区別がなくなるという面があります。通勤がある場合は、朝起きて、外出用に着替えることで仕事モードになるのに、在宅ワークだと普段着で緊張感に欠けてしまうといった意見もあるようです。あるいは四六時中、仕事モードになってしまうなど、オンとオフの境目が分かりづらくなる場合もあります。
・家族や同居者について
家族や同居者はによっては、人の出入りや、電話で落ち着かないと思われる方もいます。
・動線をはっきりと分ける
自宅兼事務所の動線は、仕事中の動線、プライベート時の動線とはっきり分けることによって、SOHOにまつわるデメリットをクリアする可能性があります。リビングを通らないでトイレに行き来できるようにしたり、飲み物もリビングやキッチンに行かなくてもいいように準備したりするなど、動線をはっきり分ける工夫をすると デメリットをクリアできるかもしれません。
これからは、益々「個の価値」がクローズアップされ、新しい働き方や価値を作っていく時代になっていくと思います。パフォーマンスを上げるには、働く場所である、そのオフィスがいかに心地よく設えられるが重要になって来ます。立地や場所を選び、環境を自らコントロールしながら、自らの職場、居場所を作り上げていくことが大切になっていくと思います。
コロナ禍の中、テレワークが増え、都心や都心近くにいる意味がないと地方など、自然豊かな場所に、移住する人も増えている一方で、都心回帰の動きも大きなうねりを見せています。それぞれが、好きな場所や心地よいと思える場所で働く流れは、今後ますます強くなっていくと予想します。
都市機能を 複合させた大規模開発によって都心の緑や住宅も増え、賑わいと活気、癒しの緑に満ちた憩いの場、居住の場として甦りつつあります。
働く、人と会う、暮らす、寛ぐといった機能が一つの場所にあるということは、人の一生の時間を有意義に自由に使えるということにつながると思います。
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